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「明治時代から続くやさしい甘さ」土居町ロハス企業組合の手作り黒糖が気になる!

2022年12月23日(金)

土居地域で受け継がれる伝統の味「黒糖」。サトウキビの収穫から、冬にシーズンを迎える黒糖づくりの様子までたっぷりご紹介します!

 「サトウキビ」といえば、有名なのが沖縄県。地元の方言で「ウージ」と呼ばれ、沖縄県内で多く栽培されています。そのしぼり汁を加工してできる「黒糖」は、上白糖に比べ、ビタミンやミネラルを豊富に含んでおり、コクのある風味が人気です。
 そんなサトウキビ、実は四国中央市の土居地域にも栽培・加工の文化があることをご存知ですか?なんとその歴史は明治時代から続いているのだとか。
 サトウキビ収穫のピークを迎え、昔ながらの黒糖づくりで伝統を守り続ける「ロハス企業組合」にお邪魔してきました。

土居町の山中にある製糖工場にて

目次

土居地域とサトウキビ

土居町のサトウキビ畑

 砂糖の原料となるサトウキビ。イネ科サトウキビ属の植物で、外国ではブラジル・インド・タイなどで栽培されています。温暖な気候を好み、台風や強風などにも強いことから、日本では沖縄県と鹿児島県を中心に栽培されています。
 日本三大局地風のひとつ「やまじ風」が吹く土居地域でも、強風に強い特徴を生かしてサトウキビ栽培がおこなわれてきました。産業としてではなく、各家庭で食べる農作物の一つとして育てられていたそうで、昭和初期ごろまでは製糖場も存在し、地域で持ち寄って黒糖を作っていたといいます。

代表理事を務める大広千昭さん

 そうした文化を後世に伝えようと活動しているのが「ロハス企業組合」です。2010年にボランティア団体として活動をスタート。2012年には土居町上野に製糖工場が完成しました。耕作放棄地を利用しサトウキビを栽培、加工して産直市などで販売しているほか、地域で収穫されたサトウキビの加工も担っています。

大広さん:市内には10件ほどがサトウキビを生産しており、新居浜や西条などと合わせて15件ほどの収穫分を加工しています。

サトウキビは春先に植え付けを行い、気温の下がる11月頃から2月頃にかけて完熟し、収穫の時を迎えます。強風にも耐え、たくましく育ったサトウキビが今、シーズンを迎えています。

収穫したて「生サトウキビ」を越智カメラマンがかじってみた!

収穫の様子

 大広さんに案内されたのは土居町畑野のサトウキビ畑。大人の背丈以上に成長したサトウキビを、専用の鎌で手際よく刈り取ります。今年も台風・やまじ風の雨風に襲われた土居地域でしたが、例年通りに収穫が進んでいるそうです。

岡部:11号線から見えるところにサトウキビ畑があるなんて知らなかったです。

大広さん:ちょっと食べてみますか?

せっかくなので、採れたての生サトウキビをいただくことに。同行していた越智カメラマンが味をリポートします。

越智カメラマンの食リポはニュースでもご覧いただけます

越智カメラマン:ほんのり甘くておいしいです。かじると甘みのある汁が口の中に広がります。

大広さん:昔の子どもたちはおやつにかじったりしよったみたいですよ。

 見た目からは「甘みのある植物」というイメージは湧きにくいですが、実はサトウキビは、加工する前も糖度が18度~20度ほどあります。

 一般的なイチゴ(8度~15度)やメロン(13度~18度)、柿(15度~18度)、パイナップル(14度~15度)よりも高いと聞くと、ちょっとかじってみたくなりませんか?

内部は硬い繊維質のため、噛みしめて味わう

200kgのサトウキビをじっくり煮詰めて…○○kgの黒糖へ 製造過程を見てみよう

薪を燃やした煙がもくもくと上がる

 今年は11月5日から始まったサトウキビの加工作業。この日、製糖工場では朝7時半から黒糖づくりが行われていました。工程は大きく分けて「圧搾」・「煮詰め」・「結晶化」があり、煮詰める時間が長いため、早朝から作業をしても夕方までかかるといいます。

搾る人・火を調節する人・アクを取る人の3人体制

① サトウキビの圧搾

生産者から持ち込まれたサトウキビ

 専用の機械に1本ずつ取り込み、サトウキビから蜜をしぼります。1本から採れるしぼり汁は本体の重さの半分ほど。200kgのサトウキビを圧搾すると、100kgほどのしぼり汁が採れるそうです。

しぼり汁は白っぽく、やや薄い緑色
ひたすら搾り続ける

② しぼり汁を煮詰める

 しぼり汁を大釜に注ぎ、まずは2時間ほど煮詰めていきます。大量のアクが出るため、ここでしっかりと手作業で取っていくことで、純度の高い黒糖へと仕上がっていきます。

煮詰めることで、徐々に黒糖の色味へと変化していく
薪で火の加減を調節するのは副代表の山内清徳さん

 ここで、1時間半ほど煮込んだ状態のものを試飲させていただくことに。今度は岡部もいただきました。

生でかじったときよりも甘みが凝縮

岡部:竹のような匂いがします。香りからは甘さは意外と感じませんね。
   (一口飲んで)甘っ!おいしい!こんなに甘い飲み物初めて飲んだかも…!

越智:クセがありますけど美味しいですね。

山内さん:私たちも作業をしながらよく飲むんですよ。

 アクを取りながら煮詰め続けること2時間。ここで、食用石灰をいれて中和させ、不純物を沈殿させます。

食用石灰を投入
取り出したアクも良質な堆肥になる

 この時点で、煮詰まったしぼり汁は90kgほどに減少。ここから別の釜に移し、さらに4時間煮詰めていきます。

黒糖づくりの盛んな高知県から譲り受けた大釜

③ 結晶化

煮詰め続けること約6時間。完成した液を冷やして固め、乾燥させて出来上がるのが黒糖です。

コクのある豊かな甘さが魅力

 元々200kgあったサトウキビは、圧搾し、じっくりと煮詰めることで、約1/10の量の20kgの黒糖へと変化しました。

大広さん:ひたすら煮詰めるだけ。いたってシンプルな工程ですが、昔ながらのこの作り方を大事にしています。

雑味の無い純黒糖「媛三宝」 産直市で購入できます

 ロハス企業組合では、この黒糖を「媛三宝(ひめさんぽう)」として市内の産直市などで販売。丁寧なアク取りによる雑味の無い味わいが特徴です。
また他にも、黒糖が固まる寸前の液体黒砂糖「とうみつ」や、黒糖に水分を加えて出来る「黒みつ」とパウダー状の「和二盆」も商品として販売しています。
 土居地域に伝わる伝統の味。体にやさしい甘みを、ぜひご自宅でも味わってみてください。

Information

ロハス企業組合HPでは黒糖を使ったレシピも紹介されています(通販あり)
https://www.lohas-shikoku.com/

ロハス企業組合HPより

また、越智カメラマンが制作したコスモスタイムニュース「サトウキビの収穫シーズン迎える」もぜひチェックしてみてください!
※後日「Eventぽけっと」としても放送予定です。

12月17日放送「サトウキビの収穫シーズン迎える」
記事を読む▶取材ブログ
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筆:四国中央テレビ 岡部桃子

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