2023年12月26日(火)
2023年のニュースの中から「その後」が気になる話題を再取材!第2弾は、オンラインで水引細工の体験講座をスタートさせた有高扇山堂。「より多くの人に水引に触れてその魅力を知ってもらいたい」との思いから始まった取り組みは、どう広がっているのでしょうか。
村松町にある「有高扇山堂」は四国中央市の伝統工芸・水引細工の製造や販売を手がける「祝いの紙の道具」専門店。1930年に創業、紙漉きの歴史とともに発展してきた伊予水引の伝統を守りつつ、時代に合った新しい取り組みで幅広い世代に水引の魅力を伝えています。
そんな老舗が今年スタートさせたのが「オンライン水引体験」。コロナ禍での経験から、より多くの人に水引に触れてほしいと一念発起し、体験キットの開発やタブレットでの指導の仕方の研究を進めてきました。
ニュース取材から4か月。社の倉庫を改装した写真映え抜群の「オンライン展示室」にお邪魔し、その後の取り組みについて伺いました。
目次
・伊予水引の伝統受け継ぐ 有高扇山堂
・新提案「オンライン水引体験」
・自宅で10分集中!花ブローチづくり
・水引で日常にうるおいを 有髙さんの思い
・ワークショップ申し込み方法など
・関連番組
四国中央市村松町にある「有高扇山堂」。伝統工芸・水引細工をはじめ、金封や結納品の製造や販売を行っています。1930年に創業して以来、職人の繊細な技術によって作られる作品は国内外で高い評価を受け、1997年には先代社長の有髙三男氏が水引業界初の『現代の名工』に認定されました。
近年では、受け継いだ技術を活かしたイヤリングなどのアクセサリーも人気。特別な日だけでなく、気軽に身に付けられる新しい形に発展させて水引の魅力を創り出しています。
そんな有高扇山堂が2023年に始めた取り組みが「オンラインでできる水引体験」。きっかけは、コロナ禍で生まれた「おうち時間」でした。水引を趣味として楽しむ人が出始め、遠方から「ワークショップを開催できないか」と問い合わせが相次いだことから、オンラインで楽しめる企画を計画しました。
これまでも市内の学校やイベントなどで水引を使った作品作りのワークショップを実施してきた同社。水引作りを指南するのは、専務取締役でえひめ伝統工芸士の水引デザイナー有髙智佳代さんです。
「これまで培われてきた伝統を『受け継がせていただく』という思いで、大事に後世に伝えていきたい。時代は変わり従来の製品の需要が減っている今、まずはいろんな形で多くの人に水引に興味を持ってもらうことが大切だと考えています」
歴史ある文化を今の時代に合わせて進化させる—、有髙さんはこれまでも柔軟な発想で水引の魅力を伝えてきました。
見せていただいたのは、昔ながらの水引の技法を使いつつも「今どき」な仕上がりのイヤリングやハロウィンのリース。有髙さんが参加者や季節に合わせて考案・制作したものです。
華やかなイヤリングは、表と裏で配色が異なる仕上がり。工程を覚えれば、自分でも手軽に作ることができるといいます。
学校でのワークショップ用に考案したというハロウィンリースは、あわじ結びをアレンジしたカボチャや魔女の飾りが季節感を醸しています。箒のモチーフは、茶色の水引をまとめて作っただけで簡単にできるので、初めて水引細工をする人でも挑戦しやすいところがポイント。驚くことに、ワークショップで教える作品は、季節や相手の習熟度に合わせて毎回新たに考案しているといいます。
「水引を日常で親しんでいただくことが、伝統を次の世代に伝えていくために大切なことだと考えています。ワークショップも毎回同じデザインだと飽きてしまいますから、スタッフ全員で試行錯誤しながら新作を考えています。作ったものをご自宅に飾って、さらには覚えた結び方で家でも水引を楽しんでいただければとても嬉しいですよね」
オンライン用に、体験キットをどんなものにするか検討を重ねたという有髙さん。誰もが簡単に作れてしまっては面白くない、けれど難しすぎると手を出しづらい…そんな葛藤を続けながら考案したのが、花の形のブローチでした。
「オンラインでも対面でも、一番重要なのは体験キットのクオリティ。数多くのワークショップ作品を考えてきた経験が活きていると思います。ただ、これまでは相手の年齢や習熟度をふまえてどんな作品にするか考えてきましたので、オンライン用に『誰でも』一定の達成感を味わうことができるアイテムを提案するのは、また違った難しさがありました」
完成した体験キット「10分集中。おうちで結べる花ブローチ。」は、全5色のカラー展開。水引・ビーズ・和紙のワイヤー・ブローチピンなど、材料と分かりやすい作り方をまとめた説明書を一つのパッケージにまとめています。参加者が用意するのは、水引を整えるために使うハサミだけ。特別な道具の用意は何も要りません。
「先日はオンラインで80名ほどの方に指南しました。タブレットでどの程度伝えることができるのか最初は不安でしたが、回数を重ねるたびに気づきがあるので、より分かりやすく教えられるよう研究しています」
手元を見せる際には、参加者がそのまま真似しやすいよう、有髙さん側では左右を反転させて作業をしているという工夫も。また、ゆっくり覚えたい・後から見返したいという方のために作り方の動画も制作しました。説明書に動画のQRコードを掲載したことで、体験キット単独での販売も現実的になったそうです。
オンラインでは参加者一人ひとりの進捗が確認しづらいため、従来のワークショップと比べて思うようにいかないこともありますが、これまで叶わなかった「遠方の地にも水引の魅力を伝えられる」ということに可能性を感じているといいます。
「ゆくゆくは海外の方ともオンラインでつながり、日本の文化・水引の魅力を発信していきたいです。体験キット自体も、愛媛を訪れた観光客の方へのお土産としていいのではないかと手応えを感じています」
有髙さんは、オンラインや対面でのワークショップを通して「伝統的な技術を体験することの面白さ」や「自分で作り上げた達成感」を感じてほしいと話します。
「工程を一から十まで一切間違えることなく作業するのは我々職人の仕事。みなさんには、自由な感性で水引に触れて作品作りを楽しんでほしいんです」
作り方を教える際には、『ここが曲がっています』『こうでなくてはいけません』などと細かく指摘するのではなく『花を大きくしたかったらこうするといいですよ』とアドバイスをするような姿勢を心掛けているといいます。
「色を変えてもいいし、水引を1本使うところを2本にしてもいい。参加者の数だけ作品があると思っています。『あなたのもいいね』『それも素敵ね』ってお互い話しながら、楽しい思い出として家に飾ったり身に付けたりして、生活にうるおいをもたらすことができれば何よりなんです」
心と心を結ぶ、水引。昔から継承される伝統の技術とともに、そこに込められた精神を大切に守り伝える有髙さんからは、水引細工への愛と情熱が伝わってきました。
株式会社 有高扇山堂 公式HP
〒799-0401
愛媛県四国中央市村松町719
TEL:0896-24-3603(代)
ワークショップの申し込みは電話にて承っております。
※費用などは内容や体験人数によって変わります。ご相談ください。
コスモスタイムで紹介した動画は以下の配信サービスでご覧いただけます。
2023/8/22「有高扇山堂 オンライン水引体験開始」
動画を観る➡コスモスコレクション(当社インターネットご加入者様限定)
筆:四国中央テレビ 岡部桃子
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