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愛媛発の「自転車甲子園」で快挙!最優秀賞の土居高校 情報科学部を直撃

2024年1月29日(月)

「第3回自転車甲子園」で最優秀賞に輝いた土居高校。競うのは運転技術だけではありません!知識とアイデア、そして実行力で勝利を掴んだ生徒のみなさんに、大会までの道のりを伺いました。

 

 サイクリングを観光資源として発信している愛媛県が、高校生に正しい知識や技術を身に着け、地域の環境や文化への理解を深めてもらおうと開催している「自転車甲子園」。この第3回大会で、土居高校 情報科学部が初出場ながら最優秀賞に輝きました。なんと、参加メンバーは自転車競技経験ゼロの部員がほとんど。
 自転車甲子園とは?初出場での快挙の理由は?
 土居高校へお邪魔し、運転技術だけでなく知識やアイデアが試される驚きの大会内容、そして生徒たちの「自転車を通した地域への思い」を伺いました。

目次

 ・実技・クイズ・スピーチ…愛媛発の大会「自転車甲子園」とは
 ・なぜ自転車?情報科学部の新たな挑戦
 ・自転車を安全に楽しもう!中学生に向けたサイクリングイベント
 ・合言葉は「明日につなぐ安全の輪!」
 ・狙うは2連覇!すでに部員たちは次の企画を進行中
 ・関連番組

実技・クイズ・スピーチ…愛媛発の大会「自転車甲子園」とは

自転車甲子園最優秀校に贈られるヘルメット

 2021年に愛媛県で始まった「自転車甲子園」。サイクリングを観光資源として発信する愛媛県で、高校生に知識や技術を身に着け、地域の魅力を発見・発信してもらおうと愛媛県自転車新文化推進協会が主催しています。

自転車甲子園HP

 2023年12月3日に松山市で行われた第3回大会には、土居高校を含めた愛媛県内の8校と長野県の1校が参加しました。
 大会には各学校から選手3名(+補欠2名)が出場し、以下の4つの種目で競います。


 ・道路交通法を基準としたクイズ
 ・自転車を通した地域活動に関するスピーチ(5分間・資料必須)
 ・大街道商店街を舞台に運転技術を競う実技
 ・上記の種目の上位4校による決勝戦「討論バトル」

 一朝一夕では身に付かない知識や技術の種目だけでなく、自分たちの考えや経験を資料にまとめて発表するスピーチや、意見を交わしあう討論など、自転車への関心の高さや地域への思いが試される内容となっており、大会当日までの出場者の取り組みがカギを握ります。

なぜ自転車?情報科学部の新たな挑戦

左から 亀井萌花さん(2年)三谷幸生さん(2年)川上一樹さん(2年)井原優月さん(1年)

 自転車甲子園に今年度初めて出場し、見事最優秀賞に輝いた土居高校 情報科学部。
 過去には2018年開催の「第10回全国高校観光選手権大会」(観光甲子園)で土居地域の盆栽「赤石五葉松」をテーマにプレゼンし、訪日部門でグランプリを受賞した実績を持っています。高校生の視点から地域の活性化を積極的に発信し、今回2つ目の「甲子園」制覇を成し遂げました。

顧問の内田博幸さん

 そんな情報科学部が自転車甲子園に出場することになったきっかけは、今年度、土居高校に赴任してきた顧問の内田博幸さんでした。実は内田さんの前任校は、自転車甲子園の第2回大会で優勝した上島町の弓削高校。「ゆめしま海道」というサイクリングルートを擁する上島町ならではの魅力をPRし、チームを最優秀賞に導きました。
 土居高校に着任後、「生徒が出場を希望すれば後押ししたい」と大会を紹介した内田さん。サイクリングが趣味の川上さんを中心に生徒が集まり、5月に自転車甲子園へのチャレンジを決めました。

 ただ、サイクリング文化が根付いた地域と比べると、土居地域では通勤・通学での移動手段としての印象が強い自転車。実際に、参加メンバーのほとんどが「通学でしか自転車に乗ったことがない」という初心者だったといいます。大会の実技で使用するクロスバイクについても、学校には用意がない中からのスタートでしたが、自転車甲子園出場を決めたことで(株)コイデルから寄贈があり、実技練習に励むことが出来ました。

8の字スラロームの練習の様子

 また実技については、父の影響で小学生の頃から自転車競技に取り組んでいる2年生の川上一樹さんが他のメンバーをリード。中学生の頃からトライアル(岩から岩へ自転車で飛び移ったり、いかに足を着いたり転倒せずに走行出来るかを競う競技)に力を入れているという川上さんは、大会の実技種目「スタンディング2m」にうってつけの人材です。大会ルールでは、2m×2mのエリアに10秒間足を付かずに乗っていられたら10点満点なのですが、川上さんはなんと5分間も乗り続けたままでいられるそう。土居高校の大きな武器の一つになりました。

スタンディングを披露する川上一樹さん

自転車を安全に楽しもう!中学生に向けたサイクリングイベント

 自転車甲子園の競技種目の中で、ひときわ大きな課題が「スピーチ」です。自転車またはサイクリングに関する「地域課題」「交通安全」「地域活性化」「新たな価値づくり」など、地域での活動について5分間の発表を行います。地域の課題に対する取り組み方や、今後の発展性が望める内容か、などによって得点が決まるため、何をテーマにするかが重要になります。

 情報科学部は検討の末、「交通安全に対する取り組み」と「サイクリング体験」について発表することに決めました。県内にある人気サイクリングエリアと比べ、まだまだ趣味として自転車を楽しむ文化が浸透していない土居地域。まず自転車自体の交通ルールをしっかりと周知し、そのうえで市内のサイクリングの楽しみ方を紹介する必要があると考えたのです。

 対象は、通学で自転車に乗る機会の多い中学生に決定。前半は自転車の交通安全教室を開き、基礎知識を学んでから後半でサイクリング体験を行うことにしました。安全なサイクリングコースを選ぶために何度も試走を重ね、土居高校から出発して寒川豊岡ふれあいビーチで折り返すルートを選定。サポートライダー・交通安全講座の指導者の依頼や、エイドステーションでのスイーツの提供、お土産として水引グッズを制作するなど、イベント全体の企画と準備を自分たちで進めました。

中学生に交通ルールクイズを出す情報科学部(提供:土居高校)

 そして10月22日、イベント当日には中学生や教職員など約10人参加。クイズ形式の交通ルール学習や、正しいヘルメットの装着方法などの実技練習を経て、情報科学部メンバーが先導しながらのサイクリング体験を楽しみました。

道路に出てハンドサインを実践する中学生(提供:土居高校)

 イベントを振り返って「中学生が話しやすいように自分から積極的に声をかけることを心掛けた」と話すのは亀井さん。最初は緊張していた中学生も、次第に楽しそうに話してくれたといいます。
 井原さんは「イベントを主催することが初めてで手探り状態でしたが、中学生の喜ぶ顔が見られてよかったです」とにっこり。他の種目の勉強や練習と並行しての取り組みでしたが、試行錯誤の甲斐あって、初めてのイベント開催は大成功だったようです。

10月22日に行われたサイクリングイベントの様子(提供:土居高校)

合言葉は「明日につなぐ安全の輪!」

 地域からも好評を得たサイクリングイベントを終え、いよいよ大会に向けてラストスパートです。企画内容や取り組みを通して気づいたことなどを発表するためにパワーポイントで資料を作成、5分間のスピーチ内容は暗記して臨みました。
 12月3日の大会当日には、各種目で練習の成果をしっかりと披露。川上さん得意の実技「スタンディング2m」ではトップの成績を残し会場を盛り上げ、上位4チームによる討論バトルでは三谷さんが相手の意見の穴を指摘し勝利につなげることが出来ました。

大街道での実技競技中の様子(提供:土居高校)

 そして思いを込めた地域活動に関するスピーチ。他校が原稿を読みながら発表する中、土居高校は聞き手の顔を見ながらしっかりと取り組みを紹介しました。スピーチの中でスクリーンに映し出したのは「明日につなぐ安全の輪!」というメッセージ。これは、メンバーがサイクリングイベント企画当初から決めていたスローガンです。サイクリング文化が未発展の土居地域で自分たちにできることは何かと考え、毎日を自転車で安全に過ごすための活動を広げていきたいという思いが込められています。

大会で発表するメンバー(提供:土居高校)

 参加メンバーそれぞれがベストを尽くし、見事、最優秀賞を受賞した土居高校。顧問の内田さんは大会を振り返り、「自ら企画して実行する経験は高校生のうちにはなかなか出来ない。何が必要か、どうしたら参加者が楽しめるか、生徒たちが一生懸命考え取り組んだことが成果として形になったのはとても嬉しいです」と笑顔を見せます。

 「意外と高校生って地域とつながっていないので、今回こうして地元の皆さんのご協力を得てイベントをすることが出来たのは大変ありがたいことです。大人の方、中学生…幅広い年齢の人との交流は、生徒たちにとってもかけがえのない経験になったと思います」

狙うは2連覇!すでに部員たちは次の企画を進行中

砥部焼で作られたトロフィー

 砥部焼で作られた大きなトロフィーを学校に持ち帰り、地域に明るいニュースを届けた情報科学部。実はすでに次回大会への取り組みが始まっているといいます。
 「次の大会の開催時期が夏に変更になったので、意外と時間がないです」と話すのはリーダーの川上さん。12月に第3回大会が終わったところですが、早くも第4回大会に向けて企画を練っている段階なのだそうです。次に開くイベントも、今回の経験をふまえ地域の交通安全意識の向上につながる楽しい内容を考えているとのこと。5月頃の開催に向けて作戦会議中です。現在の大会メンバーは2年生と1年生のチームなので、この優勝メンバーを中心に連覇を狙います。

 「他の学校も更に知識を付けてくると思うので、それを上回って勉強していきたい」
 「地域のみなさんが喜んでくれるのが嬉しかったので次も頑張りたい」

 今大会で自信を付けた部員たちの次なる目標は…

「2連覇して、2つのトロフィーを学校に飾りたい!」

 歴代の最優秀校に贈られるレプリカのトロフィー、そして次大会で贈られるトロフィーを土居高校へ。高校生たちの熱い戦いは続いていきます。

5月のイベントはどんな内容になるのでしょうか。今後の情報科学部の活動に注目です!

関連番組

コスモスタイムで紹介した動画は以下の配信サービスでご覧いただけます。


2023/12/25「土居高校情報科学部が自転車甲子園で最優秀賞」

動画を観る➡コスモスコレクション(当社インターネットご加入者様限定)

      コスモスプラス(当社スマホサービスご加入者様限定)


筆:四国中央テレビ 岡部桃子

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