えひめさんさん物語 アーティストinファクトリー
2019-05-06
10連休となった今年のGWも残り2日となった5月5日。
四国中央市の4つの会場で行われた「アーティストインファクトリー」ではたくさんの市民がものづくりと芸術のコラボレーションを楽しみました。
これは、4月20日から始まった愛媛県東予東部圏域振興イベント「えひめさんさん物語」のメインプログラムのひとつで、「ものづくり」産業をアーティストの視点で見つめ、新たな魅力を発見しようという取り組みです。
市内4ヶ所で開催されている会場の1つ、紙産業技術センターでは、伊予水引金封協働組合と、愛媛県出身で服飾デザインなどを手がける現代アーティスト 月岡彩さんがコラボし古くからお祝いの品として贈られてきた結納飾りにヒントを得て、それらを構成する松竹梅や、鯛などを立体感のある水引のアート作品としました。
月岡さんのアイデアを受け、愛媛県認定の伊予水引の伝統工芸士が作った作品は技術の高さが際立つように、その飾りをイメージさせる1色の水引で制作されています。
また、ワークショップも開かれ、来場者は工芸士に手ほどきを受けながらあわじ結びにチャレンジしていました。
続いての会場は、折り紙やノートなどを製造している中之庄町の協和紙工株式会社。松山市在住の画家 町田紗記さんとコラボし、折り紙や製造過程ででた端材などを使って町田さんが四国中央市の自然や工場の様子にインスピレーションを受けて考案した物語を表現しました。
来場者は工場内を見学したり、折り紙を貼り付けて表紙をつくるオリジナルノート作りを楽しんだりしていました。
3つ目の会場は、紙製品などを製造しているカクケイ株式会社の寒川町にある工場。東京都でインテリアなどのデザイナーとして活動しているワルツの2人とコラボし風を受けてくるくると回る、紙でできたオブジェをつくりました。3種類の柄の異なる巨大な作品は「紙のおばけ」という意味のペーパースペクターと名づけられ、訪れた人は興味深そうに眺めたり、回転させたりして楽しんでいました。
また、ある方向から見ると文字が浮き出るおばけ屏風という作品も制作しそこに書かれているメッセージを読み取ろうと、来場者はあちこちから屏風を眺めていました。
4つ目の会場は、中之庄町にある一柳こんにゃく店。香川県高松市で平面美術や舞台美術のアーティストとして活動するカミイケタクヤさんと地元 三島高校美術部員とがコラボし、移転新築された店舗の内装や外観の装飾を制作しました。
これまで営業していた店舗の壁には、10年前に三島高校美術部が描いた空飛ぶクジラの絵があり、今回のコラボでは、この大きなクジラのイメージを引き継ぎ、新店舗の天井では、やさしい色合いのクジラが何匹も泳いでいます。
工場では、こんにゃく作り体験が行われ、参加者は練り上げられたこんにゃく芋のプリプリとした感触に驚きながら茹でてさらに弾力の増したこんにゃくの魅力を再認識しているようでした。
各会場を訪れた人々は、機能性、実用性が重視されている生活必需品がちょっとしたアイデアと遊び心でアート作品に生まれ変わる面白さを体感しているようでした。